会社を設立する際は、様々な書類を各省庁に提出する必要があります。
合同会社の設立登記のための準備として、まずはじめに行うことは定款という「個々の私法人の組織・活動について定めた根本規則を記した書面」を作っていくことです。
定款は会社設立登記を得意とする行政書士の人に依頼して作成するのが一般的ですが、費用節約のため、自分の力で作っている人がいるのも事実です。
とは言っても、はじめて会社を設立する場合はどのような内容の書類なのかわからないし、なにをどうやって作り始めればいいのかわからないことと思います。
そこで今回は、素人でも簡単に作ることが出来る具体的な定款の作り方について、ステップ毎に詳しくお話していきます。
【STEP1】定款の文章を作文する
これから作っていく合同会社の定款とは、「個々の私法人の組織・活動について定めた根本規則を記した書面」というものなのですが、この時点では会社設立がはじめての場合、一体何のことなのか、さっぱりわからないのではないかと思います。
まずは下記の記事に定款の雛形サンプルをまとめておきましたので、一度それをサラッと眺めながら、定款とは一体どういった内容の文章のことなのか頭の中にイメージを作ってみてください。
>>【法人登記】合同会社の定款の雛形サンプルまとめ(一人社長編)
一度定款を見てもらうと分かる通り、定款を作るために決めるべきことは意外に少なく、雛形に従って自分の作る会社に合わせた内容に書き換えていけばいいということがなんとなくわかってくると思います。
その定款の具体的な作り方ですが、パソコンのソフト(ワードなど)を使って文章を作成していくのが基本となります。
「何のために、どのような会社にしていくのか?」ということが決まっていさえすれば、後はその内容を文章化していけばいいだけですので、上記の雛形を参考に定款の作成に取り組んでみてください。
ただし、定款を作成する上での注意点としては、定款には絶対的記載事項(必ず記載しなければならない項目)や相対的記載事項(定款に定めないと効力が生じない項目)、そして任意的記載事項(法的に絶対に必要というわけではないが、会社の基本ルールとして記載しておきたい項目)などがあります。
絶対的記載事項
- 商号
- 事業目的
- 本店所在地
- 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
- 発起人または社員の氏名、または名称、住所
- 社員全員が有限責任である旨(合同会社のみ)
- 発行可能株式総数(株式会社のみ、絶対的記載事項に準ずるもの)
相対的記載事項
- 現物出資
- 株式の譲渡制限に関する定め
- 株券発行の定め
- 役員任期の伸長
任意的記載事項
- 英語の社名
- 総会の開催時期
- 役員の員数
- 事業年度
よくわからないまま適当に項目を削除してしまうと、定款に必ず記載しなければならないものがないということにもなってしまう可能性がありますので、そのようなことはやめておいたほうがいいでしょう。
もし、定款の作成において分からないことがある場合、法務局の無料相談というサービスを利用するのがいいと思います。
この無料相談は、定款の作成そのものをお願いすることはできませんが、定款の作成中にわからないことがある場合、そのことについて提出先となる法務局の担当者から直接教えてもらうことがができますので、ご参考まで。
ちなみに、私の場合、上記のように自分で雛形サンプルを書き換えて定款を作っていくのではなく、「会社設立freee」というサービス(基本料金は無料)を使って定款の文章を作成しました。
どうして私がこのサービスを利用して定款の文章を作成したのかというと、会社設立freeeの場合、以下のような項目を入力していくだけで定款文章が自動で作成されるからです。
- 会社の名前
- 会社の住所
- 代表社員
- 事業目的
- 資本金の額
- 決算期
- 公告の方法 など
私の場合、会社のイメージがある程度固まっていたという事もありますが、会社設立freeeでの定款の作成にかかった時間はたったの30分ほどでした。
この会社設立freeeを使って定款を作る方法については、こちらの記事にまとめておきましたので、ご参考まで。
>>【簡単無料】合同会社の定款を自分で作成する方法(会社設立freee)
【STEP2】定款を提出できる形にする(電子定款)
法務局での登記手続きで定款を提出する方法は、以下の2つの方法があります。
- 書面の定款を紙で提出する方法
①実印押印
②収入印紙を貼付(40,000円)
③会社に保存 - 電子定款をCD-Rに焼いて提出する方法
①電子署名(行政書士の人に依頼する、約5,000~10,000円が相場)
②会社に保存
一昔前までは書面での定款提出が基本でしたが、最近では電子定款といって電子データで作成した定款(PDFデータ)をCD-Rなどに保存して提出する方法が主流になってきています。
というのも、電子定款の場合、書面提出で必要だった収入印紙が必要ではなくなるため、その費用を節約することが可能だからです。
ちなみに、私の場合もこの電子定款で会社の登記手続きを行っていきました。
ここで知っておきたいことは、電子定款とは単に自分で作成した定款のWordファイルなどをPDF化(変換)したものを提出すればいいというわけではなく、そのPDFファイルに電子署名(個人番号カードや住民基本台帳カードを用いたもの)を付加して法務局に提出しなければなりません。
この電子署名を自分で行うことも可能なのですが、専用のソフトやカードリーダーなどを購入しなければならないことを考えると、行政書士の人などに依頼(ネットで「会社設立 電子定款」などと検索)したほうが安くなることがほとんどです。
具体的には、ネットなどで電子定款作成の依頼申し込みをし、STEP1で作成した定款のデータ(PDFファイル、またはWordファイル)を行政書士の人にメールなどで送ります。
その後、2~3日ほどで電子署名がされた定款のデータ(PDFファイル)が送られてきますので、それをCD-Rに焼いて法務局に提出するという流れになります。
CD-Rには会社名を記載しておくと、法務局内の作業で取り間違えなども起こりにくくなるでしょう。
このように定款の文章は自分で作成して、電子定款のみ行政書士の人に依頼する(5,000~10,000円ほど)方が、書面で作成して4万円の収入印紙を貼り付けるよりも費用節約できるのでおすすめです。
【STEP3】定款の認証を受ける
そして最後にやるべきことは、上記で作成した定款の認証を受けるという工程です。
具体的な認証の手順について解説する前に、定款の認証は一体何のためにしなければならないのかということについてから説明してきます。
法人設立の際は、会社の根本原則となる定款を作成してそのまま法務局に提出するのではなく、法務鏡に提出する前にそれを「公証人」に証明(約5万円)してもらっておく必要があります。
というのも、公証人に定款の内容を証明してもらっておけば、その時点での定款の内容は公証人役場で記録保管されますので、のちのち会社のトラブルなどが起こった際に定款の内容の正当性について揉めたりするリスク(関係者の知らないところで勝手に定款が書き換えられてしまうなど)を回避することがでるからです。
嘱託人、その承継人又は利害関係人は、定款認証をした公証役場(多くは本店所在地の公証役場になると思われます。)で保存する定款及びその付属書類の謄本の請求をし、又はその閲覧を請求することができます。(公証人法62条ノ5、60条ノ4、51条ないし56条)。なお、手数料は、謄本については1枚につき250円、閲覧は1回200円になります。
ちなみに、定款は誰でも閲覧できるというわけではなく、閲覧できるのは会社の利害関係者(会社の役員、株主、債権者)だけに限られていることも知っておきましょう。
ただ、株式会社の場合は作成した定款を公証人役場で認証を受ける必要があるのですが、合同会社の場合は認証を受ける必要はありません。
今回の場合、合同会社を設立する前提で話を進めていきますので、この定款の認証のステップは飛ばしてしまってOKですので、STEP2までで定款の作成は完了ということになります。
最後に一言
今回は、【合同会社設立】会社設立登記で必要な定款を自分で作り上げる方法についてお話しました。
一般的には定款の作成は行政書士の人などに丸投げ依頼することが多いですが、ここで紹介したように文章の作成は自分で行い(雛形サンプルから編集作成、会社作成freeeを利用など)、電子署名の部分だけを行政書士の人に依頼するという形が一番安上がりで簡単です。
是非参考にしてみてくださいね。
それでは!