自分で合同会社の設立登記する際に必要となるのが、個々の私法人の組織・活動について定めた根本規則を記した書面となる「定款」です。
はじめての会社設立の場合、こういった書類に馴染みがないため、一体どうやって作っていけばいいのかわからないのではないかと思います。
そこで今回は、一般的な合同会社の定款の雛形から、一人社長向けの定款サンプルまで詳しく紹介していきます。
なお、会社設立freeeを使って定款を自動作成(無料)する方法については、こちらの記事が参考になると思います。
>>【簡単無料】会社設立freeeで合同会社の定款文章を自動作成する方法
合同会社の定款サンプルその1(基本シンプル編)
まずはじめに合同会社の定款サンプルその1(基本シンプル編)を紹介します。
基本シンプル編では、合同会社を設立するにあたって必要最低限の内容を記載した定款となっています。
是非参考にしてみてください。
○○合同会社定款
第1章 総 則
(商号)
第1条 当会社は、○○合同会社と称する。
(目的)
第2条 当会社は、次の業務を営むことを目的とする。
①ソフトウェアの規格、開発
②コンピュータシステムに関するコンサルティング
③前各号に附帯または関連する一切の業務
(本店の所在地)
第3条 当会社は、本店を○○県〇〇市に置く。
(広告の方法)
第4条 当会社の公告は、官報に掲載する方法により行う。
第2章 社員及び出資
(社員の氏名、住所、出資及び責任)
第5条 社員の氏名及び住所、出資の価額並びに責任は次のとおりである。
社員の氏名 〇〇 〇〇
社員の住所 〇〇県〇〇市〇〇町〇〇番地
出資の価額 金〇〇万円
責 任 有限責任社員
(社員の責任)
第6条 当会社の社員の全部を有限責任社員とする。
第3章 業務執行権及び代表権
(業務執行社員)
第7条 業務執行社員は次の通りとし、当会社の業務を執行するものとする。
業務執行社員 〇〇 〇〇
(代表社員)
第8条 代表社員は業務執行社員の互選をもって、これを定める。
第4章 社員の加入及び退社
(社員の加入)
第9条 新たに社員を加入させる場合は、総社員の同意によって定款を変更しなければならない。
(任意退社)
第10条 各社員は、事業年度の終了の時において退社することができる。この場合にのいては、各社員は、2ヶ月前までに会社に退社の予告をしなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、各社員は、やむを得ない事由があるときは、いつでも退社することができる。
(法定退社)
第11条 各社員は、会社法第607条の規定により、退社する。
第5章 計 算
(事業年度)
第12条 当会社の事業年度は年一期とし、毎年4月1日から3月31日までとする。
第6章 附 則
(法令の準拠)
第13条 この定款に規定のない事項は、すべて会社法その他法令に従う。
(最初の事業年度)
第14条 当会社の最初の事業年度は、当会社成立日の日から30年3月31日までとする。
以上、○○合同会社の設立のため、この定款を作成し、社員が次に記名押印する。
29年12月1日
〇〇県〇〇市〇〇町〇〇番地〇〇マンション〇〇号室
〇〇 〇〇 印
定款の作り方は、上記の定款サンプルの太字の部分を設立する会社に合った内容に変更していけばOKです。
定款の中に記載されている用語でよくわからないものについては、こちらの記事で解説しています。
>>公告とは?
上記で紹介した定款例は一般的な合同会社設立をイメージしたシンプルな定款の内容となっているため、一人社長(社員兼従業員が社長の一人のみ)が死亡した場合、会社も同時に解散しなくてはならなくなってしまうというデメリットがあります。
合同会社の定款サンプルその2(応用相続対応編)
前のページで紹介した定款は一般的な合同会社設立をイメージしたシンプルな定款の内容となっていました。
ただ、その内容では一人社長(役員兼従業員一人のみ)の場合、社長が不良の事故などで死亡した時点で会社は解散しなければならないというデメリットが発生してしまいます。
そこで、社長(代表社員)が死亡した場合でも、相続人などが会社を引き継ぐことが出来る内容の定款サンプルを紹介していきます。
〇〇合同会社定款
第1章 総 則
(商号)
第1条 当会社は、〇〇合同会社と称する。
(目的)
第2条 当会社は、次の事業を行うことを目的とする。
(1)インターネット等の通信ネットワーク及び電子技術を利用した各種情報提供サービス、情報収集サービス、広告・宣伝に関する業務及び代理業務
(2)前各号に附帯関連する一切の事業
(本店所在地)
第3条 当会社は、本店を◯◯県〇〇市に置く。
(公告方法)
第4条 当会社の公告は電子公告により行う。 ただし、事故その他やむを得ない事由によって電子公告による公告をすることができない場合は、官報に掲載する方法とする。
(定款の変更)
第5条 本定款は総社員の同意によって変更することができる。
2 社員が2名以上ある場合に前項の変更をする際に、社員に下記のいずれかの事由が生じている間は、当該社員の同意は不要とする。
(1)認知症、病気、事故、精神上の障害などによる判断能力の喪失
(2)行方不明
(3)その他同意の意思表示ができない事由
3 前項の規定は、法令または定款において社員の同意、承諾または互選を要する場合に準用する。この場合において、第2項中「同意」とあるのは、「承諾」または「互選」と読み替える。
第2章 社員及び出資
(社員の氏名、住所、出資及び責任)
第6条 社員の氏名、住所、及び出資の価額並びに責任は次のとおりである。
金〇〇円 〇〇県〇〇市〇〇町〇〇番地の〇〇
有限責任社員 〇〇 〇〇
(持分の譲渡制限)
第7条 社員は、代表社員の承諾がなければ、その持分の全部または一部を他人に譲渡することができない。
2 前項に伴う本定款の変更は、本定款第5条の規定にかかわらず、代表社員の同意によってすることができる。
3 前2項の規定は、代表社員に事故があるときは、他の業務執行社員がこれに代わる(以下、本定款において、代表社員が行うべき行為の定めがある場合において同様とする。)
第3章 業務執行権及び代表権
(業務執行の権利義務)
第8条 当会社の業務執行社員は、次のとおりとする。
業務執行社員 〇〇 〇〇
(代表社員)
第9条 業務執行社員が2名以上ある場合は、そのうち1名以上を代表社員とし、業務執行社員の互選をもって、これを定める。
2 業務執行社員が1名の場合は、当該業務執行社員を代表社員とする。
(利益相反取引の特則)
第10条 業務執行社員が会社法第595条第1項の取引をする場合は、代表社員の承認を受けなければならない。
2 代表社員が会社法第595条第1項の取引の当事者である場合は、同法同項の承認があったものとみなす。
(業務執行社員の報酬)
第11条 業務執行社員の報酬、賞与その他の職務執行の対価として当会社から受ける財産上の利益は、総社員の同意をもって定める。
第4章 社員の加入及び退社
(社員の加入)
第12条 新たに社員を加入させる場合は、総社員の同意によって定款を変更しなければならない。
(任意退社)
第13条 各社員は、事業年度の終了の時において退社をすることができる。この場合においては、各社員は、3ヶ月前までに会社に退社の予告をしなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、各社員は、やむを得ない事由があるときは、いつでも退社することができる。
(法定退社及びその特例)
第14条 各社員は会社法第607条の規定により退社する。
2 前項の規定にかかわらず、社員が死亡した場合又は合併により消滅した場合においては当該社員の相続人その他の一般承継人が当該社員の持分を承継することとする。
第5章 計 算
(事業年度)
第15条 当会社の事業年度は、毎年4月1日から翌年3月31日までの年1期とする。
(損益分配)
第16条 社員の利益分配の割合は、各社員の出資の価額に応じて定める。
2 社員の損失分配の割合は、各社員の出資の価額に応じて定める。
第6章 そ の 他 附 則
(解散の事由)
第17条 当会社は、次の事由によって解散する。
(1)総社員の同意
(2)会社の合併
(3)社員全員の退社
(4)会社の破産
(5)解散を命ずる裁判
(定款に定めのない事項)
第18条 この定款に規定のない事項は、すべて会社法その他の法令に従う。
以上、〇〇合同会社設立のためこの定款を作成し、有限責任社員が次に記名押印する。
平成29年12月1日
〇〇県〇〇市〇〇町〇〇番地の〇〇
有限責任社員〇〇 〇〇
いかがでしたでしょうか?
この定款の場合、一人社長(代表社員)が死亡した場合、相続人が持分を引き継ぐ事ができるため、会社を解散せずにそのまま存続させることが可能となります。
最後に一言
今回は、【法人登記】合同会社の定款の雛形サンプルまとめ(一人社長編)についてお話しました。
定款作成は難しいイメージがありますが、合同会社の場合であればこれだけの文量なので、自分でも簡単に作文することが可能です。
ただ、記事の中でもお話したように単にネットで拾った雛形をコピペ作成してしまうと、相続などの際に問題がでてきてしまう可能性もあります。
定款を作成する際はその辺りのことを注意しながら作成してみてくださいね。
それでは!