個人事業主になったり、会社を設立したりすると、税務署(中小企業庁、公正取引委員会)からこのよう送られてくるようになります。
郵便物を手にとって送り主(税務署)などを確認した瞬間、「なにか大変なことをしてしまったのではないか?」と心配になっている人もいるかもしれません。
でも安心してください。
この封筒の中身は「消費税の転嫁拒否等に関する調査」のアンケート(本来であれば取引先が支払うべき消費税分を無理やりこちら側(自分)が負担しなければならなくなってしまっているというような状況に陥っていないか、ある場合はどの会社(取引先)がそのようなことを行っているのかといったことを税務署や公正取引委員会などに報告するためのもの)が入っているだけで、そのアンケートへの回答は任意となっています。
今回はこの消費税転嫁拒否等に関する調査のことについて、詳しくお話していきます。
税務署から送られてくる郵便物は消費税に関するアンケート用紙
事業を始めてしばらくすると郵送で下記のような封筒が送られてくるようになります。
この封筒の送り主は「税務署」で、お問い合わせ先には「公正取引委員会」や「中小企業庁」などが記載されているため、初めて受け取った人の場合、「なにか重大なミスを犯してしまったのか・・・?」と不安になる場合があります。
ただ、この封筒の説明書き(右上)のところを詳しく読んでみると・・・
この郵便物(調査票)は、貴殿等が取引先法人などから、消費税の転嫁拒否等の法律上問題のある行為を受けていないか(被害を被っていないか)の実態を把握するために、随時発送しているものです。(回答は任意です。)。
と書かれています。
要するに、本来であれば取引先があなたに対して支払うべき消費税を払わないなどの法律上問題のある行為を受けたことはあるか、あるとするならばそれはどのような内容で、どこの会社がそのようなことを行っているのかということを公正取引委員会などに報告するためのものとなっています。
具体的な消費税の転嫁拒否等の禁止行為については、郵便物に同封されているパンフレットの中で、以下のように解説されています。
- 減額
特定事業者は消費税率引き上げ分の全部又は一部を、事後的に減じて支払う事により、消費税の転嫁を拒否してはいけません。- 買いたたき
特定事業者は、合理的な理由なく、通常支払われる対価に比べて対価の額を低く定めることにより、消費税の転嫁を拒否してはいけません。- 商品購入、薬液利用、利益提供の要請
特定事業者は、消費税の転嫁を受け入れる代わりに、特定事業者の指定する商品を購入させたり、役務(サービス)を利用させたり、また、経済上の利益を提供させる行為を行ってはいけません。- 本体価格での交渉の拒否
特定事業者は、価格交渉を行う際、特定供給事業者から本体価格での交渉の申し出を受けた場合には、その申し出を拒否してはいけません。- 報復行為
特定事業者は、消費税の転嫁拒否等の行為があるとして、特定供給事業者が公正取引委員会などにその事実を知らせたことを理由として、取引数量を減じたり、取引を停止したり、不利益な取扱を行ってはいけません。引用)転嫁拒否等の行為の是正
なお、消費者との間に関する消費税の問題に関してはアンケートの調査外となっています。
このアンケートへの回答は任意なので、上記のような被害の実態がない場合は送られてきたアンケートを破棄してしまってOKです。
消費税の転嫁拒否等の実態がある場合はどうすればいいのか
取引先から消費税の転嫁拒否等の実態がある場合は、アンケート用紙にその実態を記入し、同封されている返信用封筒を使って返送することになります。
アンケート用紙の裏側の方には、不正行為を行っている取引先の名称などを記載する欄や、自分の氏名などを記載する欄などもあります。
ここで心配になっていくるのは、取引先の名前や自分の名前を記入してしまうと、取引先にこのことを報告した人がバレてしまって、後で仕返しをされてしまうのではないかということだと思います。
このことについては、アンケートの説明書きに以下のような記載があります。
貴社の回答内容について、この調査の目的以外に使用することは一切ありません。回答内容は公正取引委員会、中小企業庁等の消費税の転嫁拒否等の行為に対する監視・取締りを担当する官公庁のみ守秘義務に基づき適切に使用します。また、取引先法人事業者に対して調査を行う場合は、本調査に回答して頂いた供給事業者が特定されないよう、様々な工夫をしていますので、安心してありのままの事実を回答してください(回答は任意です。)。
ですので、基本的には事実をありのままに記入してもOKだということになります。
とは言うものの、どうしても報告するのが心配という場合は、例えば、取引先情報や不正の実態などは記入するけれども、自分の情報は記載せずにアンケート用紙を送付するということも可能です。
基本的にアンケートへの回答は任意ということになっていますので、この辺りは報告者がどの辺りまでの情報を提供するか判断することができます。
最後に一言
今回は、【回答は任意】消費税の転嫁拒否等に関する調査(税務署、中小企業庁、公正取引委員会)についてお話しました。
急に税務署から封筒が送られてくるとドキッとしてしまいますが、この郵便物は消費税に関するアンケート用紙ですので、関係のない場合はそのまま破棄してしまってOKです。
ぜひ参考にしてみてくださいね。
それでは!