新事業年度が始まったら、棚卸や決算書類の作成といった決算作業が始まります。
その決算作業が終わって一段落したら、次は法人税など各種税金を収めるための確定申告書類を準備していく必要があります。
会社が支払うべき税金を納付するための確定申告書類は、小規模で事業内容がシンプルな合同会社の場合、以下のような感じになっています。
税務署に提出する書類(法人税、地方法人税)
- 別表一(一)
各事業年度の所得に係る申告書 - 別表一(一)次葉
各事業年度の所得に係る申告書 - 別表二
同族会社等の判定に関する明細書 - 別表四
所得の金額の計算に関する明細書(簡易様式) - 別表五(一)
利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書 - 別表五(二)
租税公課の納付状況に関する明細書 - その他(必要に応じて準備する)
県税事務所に提出する書類(法人事業税、地方法人特別税、法人都道府県民税)
- 第六号様式
法人道府県民税・法人事業税・地方法人特別税の申告書
市役所に提出する書類(法人市町民税)
- 第二十号様式
法人市町村民税の申告書
基本的に上記の書類は決算時に作成した書類(損益計算書、貸借対照表など)があれば、下記のような参考書籍を読みながら、マクロで動くエクセルに決算書類の内容を入力して作成していくことが可能です。
ただ、こういった確定申告書類の作成は本来の会社業務とは異なり、利益を生まない作業であるため、なるべく手間と費用をかけずに作成したいという人も多いのではないかと思います。
そこで今回は、「全力法人税」というWEBサービス(初年度約2万円/年、翌年以降約1万円/年)を使って、短時間(約1日)で合同会社の確定申告書類を印刷作成する具体的な方法について、詳しくお話していきます。
合同会社の確定申告書類を作成するために必要なものについて
まずはじめに、合同会社の確定申告書類を作成するために必要なものについて、お話していきます。
【必要なものその1】会社の基本情報が分かる書類
まずはじめに準備するものは、会社の基本情報などが書かれた書類です。
全力法人税を使う際、初期設定の段階で会社の基本情報(設立年月日や法人番号など)を入力する画面が出てきますので、会社設立時に各役所に提出した書類の控えなどを手元に準備しておきましょう。
そういった書類が見当たらない場合は、法務局に行って登記事項証明書を入手すればそこにも会社の基本情報が記載されていますので、それを利用してもいいでしょう。
>>法務局で会社法人の登記事項証明書(登記簿謄本)を入手する方法
【必要なものその2】会社の決算情報(会計ソフトのデータ)
次に準備すべきものは、会社の前事業年度の決算情報などが記載された書類や日々の経理で使われていた会計データです。
具体的には、損益計算書や貸借対照表などの書類を用意し、そこに記載されている内容を元に、確定申告書類を作成していくことになります。
ただし、今回は「全力法人税」というWEBサービスを使いますので、紙ベースの情報ではなく、基本的には会計ソフト内のデータを取り込んで、自動的にデータ入力は完了するという形になります。
なお、全力法人税では、以下の会計ソフトのデータのインポートに対応しています。
弥生会計、freee、マネーフォワード、弥生会計オンラインの会計データを取り込むことができます。
そのデータを使ってどんどん自動計算をしていきますので入力作業が大幅に減ります。申告書作りが10数分で終わる場合も!?
会計ソフトからのデータのエクスポート(データの保存)や、全力法人税へのインポート(データの読込)はとても簡単で、約5分ほどで終わってしまいます(確定申告書類のほぼすべての数字入力作業が終わる)ので、参考書などを参考に数字を全て手入力していくのとは全く作業スピードが違います。
会計ソフトでの決算処理がまだ終わっていない場合は、こちらの記事を参考にその作業を終わらせてから先に進んでください。
>>【合同会社の決算】決算書類作成のための期末処理を自分で行う具体的な手順
【必要なものその3】会社の印鑑
パソコンでの入力作業が終わったら、プリンタで各役所に提出する確定申告書類を印刷します。
それらの申告書には会社実印(代表者印)を押印する箇所がありますので、印鑑の準備もしておきましょう。
【STEP1】全力法人税のアカウントを作成する
まずはじめに、全力法人税のアカウントを作成していきます。
パソコンで全力法人税のサイトにアクセスし、右上にある「無料アカウント登録」というところクリックします。
すると、メールアドレスを入力する画面が出てきますので、会社のメールアドレスを入力し、「送信」ボタンをクリックします。
すると、メールを送信したという旨の表示が出てきます。
ここまできたら、会社のメールソフトを立ち上げ、メールが届いているか確認してみて下さい。
メール本文の中に登録手続用のURLがあると思いますので、そこをクリックすると以下のような画面が出てきます。
ここでもう一度、会社のメールアドレスを入力し、これから使っていくパスワードをこの場で決めて登録してきます。
ここで登録したパスワードは、これから全力法人税を使う際のログイン画面で使っていくものになりますので、必ずメモを控えておきましょう。
そして、「新規登録」をクリックすると以下のようなプラン選択画面が出てきます。
今回は、法人税の確定申告をしていくので、「全力法人税」の「選択」ボタンをクリックします。
全力法人税は確定申告書類を「印刷」するタイミングで料金が発生します(すべての書類に手書きや手打ち入力で数字を書き写すのであれば基本無料で使える)ので、このタイミングではまだ料金は発生してきません。
ですので、とりあえずやりたいことができるかどうか使ってみて、使えそうだったら本格的に印刷するために料金を支払うというスタンスでいいと思います。
「全力法人税」の「選択」ボタンをクリックすると、全力法人税のホーム画面が表示されます。
これで全力法人税のアカウント作成が完了しました。
【STEP2】会社の基本情報を入力する
ここからは、会社の基本情報や代表者の情報などを入力していきます。
まず、ログイン後のホーム画面中央にある「申請書を作成する」というところをクリックしていきます。
すると、会社の基本情報などを入力する画面が出てきますので、そこに必要事項を入力していきます。
- 法人名
- ふりがな
- 法人の種類(該当する場合のみ)
- 郵便番号
- 都道府県
- 市区町村
- 住所
- 電話番号
- ホームページアドレス(ある場合のみ)
- 設立年月日
- 定款上の会計期間
→ほとんどの会社の場合、定款上の会計期間が1年となっています。それ以外の場合はこの全力法人税では確定申告書類を作成することはできません。 - 資本金の制限
→全力法人税は資本金が1億円以下の会社を対象としたものとなっています。資本金が1億円以上である場合、全力法人税では確定申告書類を作成することができません。 - 対応業種の確認
→電気・ガス供給業及び保険業に該当しないことを確認する項目です。それに該当する場合、全力法人税では確定申告書類を作成することができません。 - 業種
- 業種番号
→「業種」や「業種番号」については、こちらの資料を参考に入力すればOKです。
>>3 事業種目・業種番号一覧表(PDFファイル)|国税庁 - 法人番号
- 整理番号(未記入でも可)
基本情報の入力が終わったら一番下にある「保存」ボタンをクリックし、画面右上の「次へ」をクリックします。
すると申告情報に関する入力画面が出てきますので、こちらの方にも必要事項を入力していきます。
- 会計期間
→事業年度の開始日と終了日を入力します。今回が初めての確定申告の場合、会社の設立日と事業年度の最終日を入力しましょう。 - 事業所の数
- 申告区分
→基本的には青色申告を選択します。 - 消費税経理方式
→日々の仕訳経理で選択している方式の方にチェックをします。 - 経理責任者
→経理責任者の名前を入力します。1人社長の場合は自分の名前を入力してください。 - 経理責任者ふりがな
- 決算確定年月日
→株式会社の場合、この決算確定年月日は株主総会で決算が承認された日とされていますが、合同会社の場合は業務執行社員などに決算報告した日(議事録の作成もやったほうがいい)などの日付を記入しておきましょう。1人社長の合同会社の場合はそこまで気にする必要ありませんので、申告書を作成した日(前事業年度期末日の次の日から確定申告書類を提出する日までの間の日付)を記入しておけばOKです。 - 法人税の申告期限の延長(該当する場合のみ)
→基本的には未チェックでOKです。 - 事業税の申告期限の延長(該当する場合のみ)
→基本的には未チェックでOKです。 - 期末従業者数
→1人社長の場合は1と記入します。 - 税理士
→税理士を雇っていない場合は未記入でOKです。 - 還付申告となった場合の還付金の振込口座
→還付金がない場合は未記入でOKです。 - 申告書を提出する宛先
→会社の担当役所(税務署、道府県事務所、市区町村役場)の名前を入力します。
申告情報に関する入力が完了したら「保存」をクリックし、画面右上の「次へ」をクリックします。
【STEP3】会計ソフトの仕訳データをエクスポート(保存)する
ここからは、普段使っている会計ソフトのデータを全力法人税の方にインポートする手順です。
先程までの申告情報に関する入力を終え「次へ」をクリックすると、「進行書作成方法選択」という画面が出てきます。
今回は、会計freeeのデータを全力法人税の方に読み込んでいきますので、「①弥生会計・マネーフォーワード・freeeの会計データを取り込む」という方をクリックします。
すると、下記のような画面が出てきますので、その画面の「仕訳ファイルの取り込み」と「開始残高の取り込み」というところにそれぞれ会計ソフトから書き出したデータを読み込んでいきます。
※各会計ソフトからデータをエクスポート(PCにダウンロード)する方法は、全力法人税のマニュアルの方に詳しいやり方が記載されていますので、会計freee以外の方はそちらを参考にしてください。
まず、会計ソフトの仕訳ファイルをダウンロードするため、会計freee(普段使っている仕訳経理ソフト)にログインし、「レポート」→「仕訳帳」とクリックしていきます。
すると下記のような画面が出てきますので、画面右上の「インポート・エクスポート」というところをクリックし、「各社CSV・PDFエクスポート」をクリックします。
そして、エクスポート方式を選択する画面で「CSV」をクリックしていきます。
すると、下記のような画面が出てきますので、文字コード(Shift_JIS)や適用の設定(全てチェック)を行い、「出力開始」をクリックします。
その後、画面右下の方にある「出力した帳簿一覧」をクリックすると、先程作成した仕訳帳がダウンロードできるようになっています。
左側にある「ダウンロード」をクリックすると仕訳帳のデータ(CSVファイル)をパソコンに保存できますので、デスクトップなどに保存しておきましょう。
【STEP4】全力法人税に会計ソフトの仕訳データをインポート(読込)する
続いては、先程保存した会計ソフトの仕訳データを全力法人税の方で読み込んでいきます。
全力法人税の以下の画面の中央部にある「仕訳ファイルの取り込み」というところに先ほどデスクトップに保存した仕訳データファイルをドラッグ&ドロップします。
すると、このような感じで仕訳データファイルが画面上に表示されますので、「取り込み開始」ボタンをクリックしていきましょう。
これで仕訳ファイルの読込は完了です。
これと同じように、残高試算表や固定資産台帳の方も全力法人税のマニュアルを読みながら会計ソフトのデータをエクスポート(保存)し、そのデータファイルを全力法人税の方でインポート(読込)していきましょう。
すると、以下のような感じで全力法人税の方に貸借対照表や損益計算書、固定資産台帳の数値データが表示されれるようになります。
これで、全力法人税の方に会計ソフトのデータを移す作業は完了です。
たったこれだけの作業でほぼすべての数値入力は完了してしまいますので、とても助かりますね。
【STEP5】各種書類に記載される数値データの確認修正
ここからは、会計ソフトから引き継いだデータの内容を全力法人税の方で、確定申告書類毎に確認していきます。
基本的には、内容を確認して特に問題がない、または関連した取引がない場合は画面右上の方にある「次へ」ボタンをクリックしていくだけとなります。
画面の下の方には各書類毎に確認しておいたほうが良い内容について、画面上方に簡単な解説があったり、画面下方には解説ページへのリンクがあったりしますので、その内容を理解しながら1ページづつ進めていくと抜けや漏れが少なくなると思います。
この全力法人税の画面上で内容を修正することも可能ですので、1ページづつ内容を完成させていくイメージとなります。
ここでは提出書類の内容を一気に確定してきますので、項目数はかなり多くて大変ですが頑張っていきましょう。
具体的な確認内容については、以下のような感じになっています。
固定資産台帳
預金口座一覧
受取手形の内訳書
売掛金の内訳書
仮払金(前渡金)や貸付金、受取利息の内訳書
貸付金・受取利息の内訳書
棚卸資産の内訳書
支払手形の内訳書
買掛金の内訳書
仮受金(前受金・預り金)の内訳書
借入金・支払利息の内訳書
役員名簿
地代家賃などの内訳
雑益・雑損失等の内訳書
交際費等の損金算入に関する明細
法人税の申告上方の入力方法
別表7
別表4
別表5
納税充当金の計算
申告情報
事業概況説明書登録
お疲れさまです。
たくさん確認箇所があるため少し大変だった思いますが、ここまでで入力作業はほぼ完了です。
【STEP6】税額の確定と決算仕訳
前ページまでの入力作業が終わると今期の各種税金の納税額が以下のような感じで表示されます。
ここに表示されている決算仕訳は、会計ソフトの方で印刷する決算書類(損益計算書や貸借対照表など)を完成させるために必要となってきます。
この内容を参考に会計ソフトの方で決算仕訳を行い、上記の書類を完成させておきましょう。
具体的には、会計freeeの場合、「決算」→「振替伝票」と進んでいき、決算仕訳を行います。
後はマニュアルに従って、損益計算書や貸借対照表をダウンロード印刷すれば、会計ソフトの方で作る確定申告書類は完成です。
【STEP7】確定申告書類のダウンロード印刷
全力法人税の方に話を戻して、その他の確定申告書類のダウンロード印刷について話をしていきます。
先程の画面の下の方に「作成した申告書を見る」というボタンが出てきます。
このボタンをクリックすると各種書類のダウンロード画面が表示されます。
全力法人税はこのタイミングで利用代金(初年度約2万円、次年度以降1万円)を支払うことで、それらの書類をPDFダウンロード(印刷)をすることができるようになります。
具体的には、画面右上の「PDF出力」ボタンを押すと以下のメッセージが表示されます。
そして「支払画面はこちら」というところをクリックすると、以下のような画面が表示されます。
全力法人税はクレジットカードや銀行振込で料金を支払うことができます。
今回は銀行振込で料金の支払いを行いたかったため、銀行振込のところの「申し込み」ボタンをクリックします。
すると、登録してあったメールアドレス宛に以下のようなメールが届きます。
そこに振込先や振込金額が書かれていますので、説明に従って銀行振込をしていきます。
すると、先程のPDFダウンロード画面で作成した申告書をPDFダウンロードできるようになります。
後はダウンロード印刷後、最終的に紙ベースで内容を確認して会社実印を押印し、税務署や県税事務所、市区町村役場の方に書類を提出していきましょう。
各役所への具体的な提出方法については、こちらの記事が参考になると思います。
>>【合同会社の決算処理】書類作成から法人税確定申告納税まで自分で行う具体的な手順
お疲れさまでした。
これで、会社法人の確定申告書類の作成は完了です。
最後に一言
今回は、【合同会社の確定申告】法人税などの各種書類を自分で作成する方法(全力法人税編)についてお話しました。
確定申告書類を参考書ベースのエクセル(マクロ)で作成しようと思うと何日も時間がかかってしまいますが、全力法人税などのWEBサービスを利用すれば1日もあればすべての書類を準備することができます。
是非参考にしてみてくださいね。
それでは!