1人社長の合同会社など規模の小さな会社を設立した場合、費用節約のため、税理士や行政書士、社労士などに依頼をせず、すべて自分の力で会社の諸手続きを行ってしまいたいと考える人もいるのではないかとと思います。
ただ、会社設立が全く初めての場合、具体的にいつ、何を、どのようにしていけばいいのか分からず、困ってしまうのではないでしょうか。
そこで今回は、会社を設立したら定期的に行わなければならない主な会社業務について、やるべき時期ごとにまとめた内容について、詳しくお話してきます。
1人社長の合同会社設立後にやるべきこと
1人社長の合同会社を設立後は、本業である売上(利益)を得ること以外にも、会社を維持運営していくための経理、総務、人事などの業務を行っていく必要があります。
ここからは、各月毎に1人社長がやらなければならない会社実務のことについて、以下の会社のケースをモデルにして、説明がしやすい8月頃からの年間スケジュールの流れについてお話してきます。
- 合同会社
→ひとり社長 - 事業年度
→4月1日~3月31日 - 給与締め日
→毎月20日 - 給与支給日
→毎月27日 - 源泉所得税
→納期の特例(年2回の支払い) - 税理士
→✕(顧問契約なし) - 行政書士
→✕(顧問契約なし) - 社労士
→✕(顧問契約なし)
基本的には会社実務を自分一人だけでやり抜くという前提の内容となっていますので、そのようなイメージを持って読み勧めていってもらえると理解しやすいと思います。
8月の会社実務
8月は特に大きな会社業務はなく、前月の仕訳入力や給与支払い業務を行っていきます。
- 仕訳入力(7月分)
- 給与明細の作成(20日以降)
- 給与の支払(27日)
- 社会保険料の支払(月末まで、7月分)
- 住民税の納付(10日まで、7月分)
9月の会社実務
9月も8月と同様、大きな会社業務はなく、前月の仕訳入力や給与支払い業務を行っていきます。
- 仕訳入力(8月分)
- 給与明細の作成(20日以降)
- 給与の支払(27日)
- 社会保険料の支払(月末まで、8月分)
- 住民税の納付(10日まで、8月分)
10月の会社実務
10月も前の月と同様、大きな会社業務はなく、前月の仕訳入力や給与支払い業務を行っていきます。
- 仕訳入力(9月分)
- 給与明細の作成(20日以降)
- 給与の支払(27日)
- 社会保険料の支払(月末まで、9月分)
- 住民税の納付(10日まで、9月分)
11月の会社実務
11月も前の月と同様、大きな会社業務はなく、前月の仕訳入力や給与支払い業務を行っていきます。
- 仕訳入力(10月分)
- 給与明細の作成(20日以降)
- 給与の支払(27日)
- 社会保険料の支払(月末、10月分)
- 住民税の納付(10日まで、10月分)
ただし、11月中旬頃になると、年末年始にかけて手続きを行う「年末調整」や「法定調書」に関する書類が会社宛に送付されてきます。
11月の段階ではやるべきことはありませんが、12月に入ったら上記について対応していく必要があるということを知っておきましょう。
12月の会社実務
12月は毎月の仕訳入力や給与支払い業務に加えて、年末調整を行う必要があります。
- 仕訳入力(11月分)
- 給与明細の作成(20日以降)
- 給与の支払(27日)
- 社会保険料の支払(月末、11月分)
- 住民税の納付(10日まで、11月分)
- 年末調整
>>年末調整手続きを自力で行う具体的な手順と提出書類の記入例
年末調整のほとんどは社内で行う手続きとなっていますが、年末調整を行った後の源泉徴収税(所得税)の納付に関しては、来年1月までに税務署に書類提出と納税を行う必要があります。
1月の会社実務
1月は毎月の仕訳入力や給与支払い業務に加えて、源泉所得税の納付(納期の特例)、法定調書の提出を行う必要があります。
- 仕訳入力(12月分)
- 給与明細の作成(20日以降)
- 給与の支払(27日)
- 社会保険料の支払(月末、12月分)
- 住民税の納付(10日まで、12月分)
- 源泉所得税の納付(1月20日まで、7~12月分)
- 法定調書の提出(1月末まで、税務署)
- 給与支払報告書の提出(1月末まで、市区町村役場)
>>毎月の給与明細の作り方や給与支払い、経理の仕訳例、税金の納付方法まとめ
>>給与支払報告書の具体的な書き方と市区町村役場への提出方法
特に法定調書や給与支払報告書の作成から提出は少し手間がかかりますので、1~2日ぐらいはそのために日程を空けておいたほうがいいと思います。
2月の会社実務
2月は会社実務が少ない時期で、毎月の仕訳入力や給与支払い業務だけとなります。
- 仕訳入力(1月分)
- 給与明細の作成(20日以降)
- 給与の支払(27日)
- 社会保険料の支払(月末、1月分)
- 住民税の納付(10日まで、1月分)
3月の会社実務
事業年度が4月1日から3月31日の会社の場合、3月は毎月の仕訳入力や給与支払い業務に加えて、4月以降に行う決算に向けての決算準備を行う必要があります。
- 仕訳入力(2月分)
- 給与明細の作成(20日以降)
- 給与の支払(27日)
- 社会保険料の支払(月末、2月分)
- 住民税の納付(10日まで、2月分)
- 決算準備(棚卸、金種の残高確認など、3月31日)
特に、事業年度末日となる3月31日は棚卸や金種の残高確認などやることがたくさん出てくる日になっていますので、その日は十分に時間が取れるよう、スケジュール調整しておいたほうがいいと思います。
4月の会社実務
事業年度が4月1日から3月31日の会社の場合、4月は毎月の仕訳入力や給与支払い業務に加えて、決算書類の作成を行っていく必要があります。
- 仕訳入力(3月分)
- 給与明細の作成(20日以降)
- 給与の支払(27日)
- 社会保険料の支払(月末、3月分)
- 住民税の納付(10日まで、3月分)
- 決算書類の作成(4月中を目処)
会社の決算書類の作成は、初めての人にはなかなか骨の折れる作業になりますので、早め早めに作業に取り掛かり、少しづつ進めていくことをおすすめします。
5月の会社実務
事業年度が4月1日から3月31日の会社の場合、5月は毎月の仕訳入力や給与支払い業務に加えて、確定申告書類の作成や各種税金の納税を行っていく必要があります。
- 仕訳入力(4月分)
- 給与明細の作成(20日以降)
- 給与の支払(27日)
- 社会保険料の支払(月末、4月分)
- 住民税の納付(10日まで、4月分)
- 確定申告書類の作成と提出(5月末まで)
- 各種税金の納税(5月末まで)
>>決算書類作成から法人税の確定申告と納税まで自分で行う方法
先月に行った会社の決算書類の作成と同様、確定申告書類の作成や各種税金の納税は、初めての人にはなかなか骨の折れる作業になりますので、早め早めに作業に取り掛かり、少しづつ進めていくことをおすすめします。
6月の会社実務
6月は会社実務が少ない時期で、毎月の仕訳入力や給与支払い業務だけとなります。
- 仕訳入力(5月分)
- 給与明細の作成(20日以降)
- 給与の支払(27日)
- 社会保険料の支払(月末、5月分)
- 住民税の納付(10日まで、5月分)
ただし、6月中頃に7月初旬〆切となる算定基礎届の記入用紙が会社宛に送付されてくると思いますので、できればその中身に目を通し、内容を把握しておくのがいいと思います。
7月の会社実務
7月は毎月の仕訳入力や給与支払い業務に加えて、源泉徴収税の納付(納期の特例)や算定基礎届の提出などを行っていく必要があります。
- 仕訳入力(6月分)
- 給与明細の作成(20日以降)
- 給与の支払(27日)
- 社会保険料の支払(月末、6月分)
- 住民税の納付(10日まで、6月分)
- 源泉所得税の納付(7月10日まで、1~6月分)
- 算定基礎届の提出(7月10日まで)
>>毎月の給与明細の作り方や給与支払い、経理の仕訳例、源泉所得税の納付方法まとめ
算定基礎届の書類への記入や提出については1日もあればできると思いますので、早め早めにやって提出しておくのがいいと思います。
最後に一言
今回は、【ひとり社長の合同会社】会社実務の年間スケジュールまとめについてお話しました。
1人社長の合同会社の場合、本業の負荷次第では、自分で全ての会社関連業務をやり抜くこともできると思います。
事前に忙しい時期などを把握し、できるだけ早め早めに作業を進めていくことをおすすめします。
それでは!